高地でのペース配分

高地という要素を侮って失敗した車坂。
そこで取れたデータの分析が今回の富士ヒルシルバー獲得に繋がった。

標高が上がれば大気圧は下がって(密度が薄くなって)いく。
ヒルクライムでは当然スタートとゴールに標高差があって気圧の差が生まれる。
標高が上がるにつれて酸素吸入量が減り、諸々の身体能力は低下していくだろう。
そこで気圧低下に比例してパワーがダウンしているとして、最近の全開アタックデータからパワーを標高0mとの気圧比P/P0で割った『基底パワー』の0W除外平均を計算してみた。
気圧はこちらを参考に計算した(P/P0は5.257乗の部分)。

20170630001.png

250W後半に自分でも驚くくらい良く収束している(富士ヒルが高すぎるのは成長したのか高標高でのパワー減率が過大なのか…)。
大雑把だがなかなか的を射ている規格化方法のようだ。

SnapCrab_Masa_2017-6-27_21-50-17_No-00.png

これはゴールデンチーターのCP曲線。
予測曲線が1時間くらいの所までやたら平坦で右肩下がりの実測とかけ離れているなとは思っていた。
これはおそらくヒルクライム専門の自分のCPデータに気圧効果が掛かっているせいで、もし一定気圧下でヒルクライムできたら確かに予測曲線くらい行きそうな気はする。

つまり高低差の大きい超級ヒルクライムにおいてはパワーを徐々に絞っていくことが真のペース維持となる。
『パワーメーターで何W維持』は実は序盤は無駄があり、後半は過負荷になってしまうわけだ。

空気抵抗も標高が上がって大気密度が下がれば少なくなっていく。
こっちも空気抵抗係数が密度(=気圧比×温度[K]比)に比例するようにした。
自分の場合0m ,0℃(273K)で0.186 kg/mという基準値を取るが、これは0m,20℃(293K)で30km/h巡航した場合空気抵抗が100Wになる値だ。
これが2000mになれば20W減になるのだからちょっとどころでない影響がある。
今までパワーも空気抵抗係数一定で特に問題がなくシミュレートできていたが、
それは気圧低下によるパワーダウンと空気抵抗軽減がほぼ相殺されているためだった。
案外自然と相殺のかかっている単純なラップ表の方が正しいペースを示していて、パワーメーターだけを見ていると前述の罠に嵌る。

富士ヒルでは実証実験として225Wスタート~197Wゴールというポジティブスプリット作戦を取った。
序盤は240Wほど出してしまい強く入りすぎたところもあるが、基底パワーの時間t[s]に対する近似直線は263-0.0017tとほとんどタレておらず、ラスト500mは255Wで踏めたので理想的な走りが出来たといえる。
『実測パワー値がタレていくのは環境的に仕方がないこと』と分かっていて動揺しなかったことで精神的負担も軽減できた。


レース時間に適したクリティカルパワーのデータがあれば、コースの標高が違っていてもある程度発揮可能なパワーを見積もることが出来た。
低圧下でのパフォーマンス低下には色々な説があるが、自分の場合はこれで必要十分な予測ができそうだ。

興味があれば基底パワーを計算してみては如何でしょうか?
ガーミンユーザーはTCXをゴールデンチーターに読み込んでEDITから表データをコピーするのが手っ取り早いと思います。
よければ結果が一致したorズレた報告なんかも頂けたら有難いです。

にほんブログ村 自転車ブログ ヒルクライムへ
にほんブログ村
スポンサーサイト

GPSパワー解析 超改良に成功と新発見


※※※今回は非常に難しい話です。理系アレルギーの方はご遠慮ください※※※


パワーメーター導入を前に、
自作のGPSパワー解析を計測パワーに対応できるように改造中。
同時に改良を試みることに。

自分の計算法の最大の問題点は下りの再現性の低さ。
試行錯誤の末ついにその解決法を発見した。

一般的な速度→パワー計算は、大雑把にいうと速度と斜度から

空気抵抗+転がり抵抗+位置エネルギー=入力パワー

という抵抗要素の総和を計算をする。
もし下りで足を止めればパワー0で力のつり合いを解いて速度が出そうだが
5%くらいでもかなりの速度にならないとパワーが0にならない。
原因は物理の基本法則、エネルギー保存則が働いているため。
動いている物体が既に持っている運動エネルギーを考える必要があったのだ。

そこで、式を

現在の運動エネルギー=直前の運動エネルギー-空気抵抗-転がり抵抗±位置エネルギー+入力パワー

という形に改良した。

以前の式では各項が速度の関数で式が解けず、パワーから速度を出すのが非常に困難だった。
初めは無理やりなパワーの近似3次式で計算していて、
次に速度-斜度を区切ったのパワー行列を参照して加重平均…とかものすごーくややこしい方法を使っていた。
それが改良式では理論に基づいた一本の式で解けるようになった。
これで問題だった下りもそれらしい速度を返してくれるようになり、精度が一気に向上してGPSログ→パワー算出と想定パワー→タイムシミュレーションで計算した平均パワーが数ワット誤差で一致するようになった。


20170202001.png

柳谷単独PBを元にした想定パワー→タイムシミュレーションと実タイムの差はこんな感じ。
減衰は線形減少仮定の想定パワーの傾き。
SPはスプリントの略。最後にもがいて誤差が出た時の補正用でここでは未使用。
下り閾値はどの程度の下り斜度で足を止めたかを仮定して想定パワーを0にする。


さらに運動エネルギーはただ重量からmv^2/2で出すだけではつまらないので
ホイールの慣性モーメントも盛り込むことにした
20170202002.png
外周はリムとタイヤ/チューブのリング、内周はハブやスポークなど残りの重量が均一分布した円盤と仮定して慣性モーメントを計算した。
慣性モーメントIはホイール半径rを使って運動エネルギーの重量mにI/r^2という形で加算することが出来る。
で、この加算重量が自分のホイールの場合、
普段履きレーシング3/コンチGP4000S2で1.455kg
決戦用C24/TUFO EliteJetでは0.99kgとなる。
つまり、単純な500gの重量差が慣性モーメントで倍になっている計算になる。
こりゃ実質加減速の繰り返しとなるヒルクライムでは劇的に効くわけだ…。
目から鱗の発見でした。

次は空気抵抗や路面抵抗などの係数をパワーメーターからの絶対値で補正、さらに風向き補正もつけてみたい。


にほんブログ村 自転車ブログ ヒルクライムへ
にほんブログ村
プロフィール

かわせみ

Author:かわせみ
東京出身の軽量クライマー。
HCレース参戦2年目。
大阪柳谷をホームに京阪神の峠に出没中。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR